CLANNAD AFTER STORY 第19話「家路」

前回と同様に、各描写エピソードは感動的なのに、肝心要の部分で一気に嘘臭くなる。
父親との対峙っていうのは今回の核だと思うのだけど、それがどうも早回しの良いとこ取りなダイジェストにしか思えない。比較的些末なことから言えば、帰宅したその日のうちに全部片付けていきなり泊まってその翌日に田舎へ帰る、っていう事実関係の釈然としなさがまず一つ。朋也の父親への言葉、やりとりの流れの納得し難さがもう一つ。
感謝も謝罪も口にしないのは納得できるのだけど、そのニュアンスより厄介払いかのように聞こえる台詞回しでは到底父親が自分の役割を終えられたことを自覚できるとは思わない。「ああ、朋也君がまたブチ切れてるな」程度の認識で思考終了してしまうと思う。また、一番の引っかかりどころとして謝罪のニュアンスが非常に希薄なことがある。謝罪より感謝の方が大事だと思うし、今回のベースになる感情はそちらだとも思うけれど、入り口として謝罪や自らを恥じ入るような感情が全く無しに進行してしまったのが感情移入し難さになった。あと、父親に以前通りの苛つきを覚えながらも思い直すっていう細かな描写が出来ていながら、残りが全般に荒いのが気になる。


正直、風子要らなかったなぁ、と。あそこまで特別な場を設けて大きく扱う必要を感じなかった。他のエピソードの端に絡めて描けばよかったように思えたが、何か意図があるのか?伏線ならそれらしい描写にしないと、ただのファンサービス以上に思えなかった。


さて、こんな大団円風味でありながら、妙に駆け足な感動への階段の駆け上がりと半端に残った話数を考えるに、もうひと泣かせさせようっていう意図が透けて見えるのだけど、正直お腹いっぱい。善くも悪くも感情を揺さぶるのに長けた作劇術を披露してくれちゃうものだから、納得しようがしまいが揺り動かされてしまって、本気で感動するにはいいけどそうでないとただ疲れるだけなんだよな・・・