true tears 第12話「何も見ていない私の瞳から」

気付けばアイちゃんと三代吉は完全に蚊帳の外な。こっちのエピソードって最終的にはメインストーリーにおいて眞一郎を追い詰めるためのサブファクターとしての位置付けだったのね。もうちょい中心部に絡みを持っていても良かった気もするけど・・・個人的な好みからいえば。ただ、事態の中心人物だけにスポットライトが当たるのでなくて、不完全ながらそこの空気を掴んでいる人間を描くのって物語に深みと広がりを与えるのね。今回のアイちゃんの存在はそういう役割を担っていたし、と同時に中心人物三人、特にあのシーンでは比呂美に視聴者の感情移入を深め過ぎないよう傍観者の視点へと引き戻す効果を担っていて、非常にこの作品らしい無くてはならない存在だったように思える。


さて前回に比べて象徴的な表現がずいぶんとわかりやすくなった。恐らく、特に眞一郎の象徴が完全に雷轟丸に確定したこと、感情移入と自己投影が整理されたことがあるのかな?死んだことで完全に象徴的な存在になった雷轟丸だけど、その物語に引きずられて地べたも象徴的な度合いを強めたのもあるか。それにしても価値の逆転が見事。感情の流れの構築が何段階にもわたって緻密だよねぇ。


まさか四月になってからとは思わなかったけど、ついに次回が最終回。落ち着くべき人間関係はほとんど見えているのだけど、そこへどういう感情を持って各キャラクターが落ち着くのか、だ。おそらく眞一郎の恋愛感情は比呂美に向かっているので確定でいいのだと思う。ただ、それとは違う感情が彼を乃絵の元へ向かわせるのだろう。これを目の当たりにして見せる比呂美の感情表現が眞一郎の母のそれと非常にオーバーラップして、ハッとさせられた。巧いなぁ、母親のエピソードが食い足りないと書いたけど、これで個人的には充足した。