ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序

もちろんネタバレ有りに決まってるでしょ。


まわりから評判だけを聞くにやたら評判がいいので、期待し過ぎてしまうところを抑えつつ見に行ってみたら期待しまくっても問題なかったw
最初から追い続けている作品だけど、エヴァンゲリオンという作品でここまでのこういう類いの感動、満足感を得られるとは夢にも思わなかった。「Air/まごころを、君に」に関しては肯定的で比較的好きな作品である自分だけど、あの作品の面白さって物語と同時にメタ的なものに負う部分が非常に大きかった訳で、今回これだけ物語の中のものをメインに、それもこういう建設的(といっていいのかわからないけど)な感動に満ち溢れるもので楽しまされたことが驚きであり嬉しい。


とりあえず謎解きとか解読とかは前世紀末時に飽きがきてるし、そもそも当時から描かれてわかる部分だけで理解すべきと思っていたからそんなものには大して興味を引かれなかった。もちろん今もそうなので、そこら辺はペンディング。わかるように描いていない部分なんて描いてないのと半ば同義だろう。


大満足といえる内容なのだけど、不満点を挙げると、まず真希波のうるささ。キャラクターとして、好戦的かつ享楽的でしたたかで自分の役割をよくわかっていて、っていうむしろ現代的な風合いがあって、よく差別化されキャラ立ちもしてるのだけど、いかんせん物語中での役割がはっきりしない。冒頭の大活躍は最初の掴みと世界観のインパクト、そして旧シリーズとは別物である旨の印象付け、弐号機での戦闘はアスカの穴埋めと旧作以上の激戦をさせるため、そのほか現実的な彼女によるシンジへの局所的な揺さぶりとか役割はあったと思うけど、別に彼女が彼女でないと成り立たないというものでもないし、下手するとそのエピソードが無くても粗筋として成立してしまえるようなものばかり。人気が出たから無理矢理出番を増やしたっていう話は納得できる。
もう一つはトウジの扱い。いかにも旧作通りの展開になりそうなミスリードをしておいて透かしでしかないっていうのは、かなり気持ち悪い。そんな意外性の持たせ方はいらなかった。ただ、方々から聞こえてくる、今作が旧作の続きの物語であるという説に則るなら、この変更は意義のあるもののようにも思えるので不満はやや保留気味。
あと途中で入る既存曲の選び方も少し。自分的には通俗的すぎて「今日の日はさようなら」も「翼をください」も演出がくどく思えた。特に「翼をください」は、ああ翼が生えるのね、と少し先走り・説明過多にかすかにウンザリ感もあり。あと伊集院光がちらついてさぁ・・・(^^;
でも、不満は本当にこれくらい。ここまでの満足はそう滅多に無いくらいに楽しませてもらった。序でかすかにスイッチされた角度がそのまま開いていってついに大きく同じものを違う場所へ運んだ印象がある。


でさぁ、直接関係無いんだけど、見終わってこれに対するガンダムの負けっぷりに悲しくなってしまった。エヴァTV版の頃Vガンがああいう作品になれなかったこと、サンライズこそああいう作品を送り出す場であったことを悔しがる発言がサンライズからあったのに、VガンがZに置き換わって同じことになってしまった。正直、新劇場版:序まではまだ負け切ってないと思っていたけど、今回のものを見れば完敗は明らか。古いものを換骨奪胎して新たに作り直すというコンセプトは非常に近く、今回の結末を見るにネガティブすぎた旧作を少しずつのずらしでより健康的なものへと変換しているという方向性もかなり近い。根本的な作品のキャパシティというのはあるけど、Zガンダム劇場版がここまでエヴァに水をあけられてしまったのには金も時間も惜しんだサンライズに問題を感じずにいられない。
ガンダムは実物大像を作るような圧倒的なメジャー性を持ったけど、エヴァはそこにやや劣りながらもそれは持っている訳で、それなのにこれだけ作品に差が付けられてしまったのでは目も当てられない。
書いててまとまりがつかなくなってきたので終了。