うたう!大龍宮城

seemad2004-11-01


自分の中で、「仮面ライダークウガ」「ウルトラマンガイア」「超光戦士シャンゼリオン」「爆竜戦隊アバレンジャー」と並んで五指に入る特撮番組(但しリアルタイム視聴のもののみ。再放送ものは評価軸が微妙に変化するので)の存在を忘れていた。
それが「うたう!大竜宮城」。ファミリー劇場で見て再発見した次第である。
この作品はそもそも特撮番組として異色なばかりか、日曜朝九時にフジテレビで放映されたコメディ特撮枠の中でも異色の存在である。
俺の記憶の中では、この枠は子供たちが探偵団を結成し怪盗を追う探偵団シリーズが2作、その後広義での魔法少女ものにシフトしたのち特撮枠が消えアニメ「シュート!」が始まるまで続いた。(これ以前もあるはず
この中で「うたう!大竜宮城」は魔法少女ものに含めることができる。ただ他の作品が勧善懲悪のヒロインものの形式を一応取る中で、この作品はその色合いが非常に薄い。ヒロイン乙姫は終盤には正装して(変身ではない)颯爽と登場し、何となくの話の決着こそ付くものの、明確な敵が常に悪さをしていると言うわけではない。この作品は「魔法ヒロインもの」というより、「不条理シチュエーションコメディ」とでもした方がふさわしいだろう。
この作品の最大の功労者は脚本の浦沢義雄であることはファンなら周知の事実だろう。この作品のみならずシリーズ全体においてその脚本のギャグの魅力が発揮されている。
例えば、
トマトジュースを何本も飲むことで自殺しようとする少女(もちろん真剣)に少年が
「お嬢さん、そんなにトマトジュースを飲んだら血液がトマトジュースになって死んでしまいますよ!」
と止めに入る(もちろん真剣)。それに対して少女、
「離してください!わたしなんて血液がトマトジュースになって死んでしまえばいいんだわ!」(もちろん真剣)
てな具合。
それだけでなく、この「うたう!大竜宮城」の最大の特徴として、本間勇輔作曲の劇中歌を登場人物達がミュージカル仕立てで歌うのだが、この作詞も浦沢義雄がつとめておりこれがまた奮っている。
♪美しい心あなたこそ魚の中の魚
♪焼き魚になっても煮魚になってもお刺身になっても忘れはしない
とか。
エド山口斉藤暁などの役者も、シリーズ他作品のような柴田理恵程のインパクトは無かったがいい味を出していた。後に「踊る大捜査線」で有名になる斉藤暁など、未だに我が家では「大竜宮城」の役名「亀」で呼ばれるほどである。また、エド山口モト冬樹の兄にして我が母校の先輩であることを知るのも後の話であった。
何よりもこの作品の印象の強さを証明するものとして、シリーズ他作品の主題歌は覚えてないのにこの作品の主題歌は覚えていることがある。この作品は主題歌までビッグバンド調の毛色の違ったものだった。